「親が認知症になった。後見人をつけると月いくらかかる?何年間払い続けるの?」
認知症の方に後見人をつける場合、その費用は月2〜6万円が相場で本人が亡くなるまで続きます。==長期になると数百万円のコストが発生します。制度を選ぶ前に全体像を把握しておくことが重要です。==
認知症と後見人の関係:後見人が必要になるケース
認知症が進み判断能力が失われると、以下の場面で後見人が必要になります。
- 銀行口座の解約・大口の出金
- 不動産の売却・賃貸
- 施設入所の契約締結
- 遺産分割協議への参加
- 各種保険・年金の手続き
本人に判断能力がない状態では、家族であっても「本人の代わりに」法的な手続きを行えません。後見人制度がその橋渡しになります。
後見人費用の種類と金額
① 申立て費用(一度だけ)
| 費用項目 | 金額 |
| 収入印紙 | 800円 |
| 郵便切手 | 3,000〜5,000円 |
| 戸籍謄本等の取得費用 | 3,000〜5,000円 |
| 医師の診断書 | 5,000〜1万円 |
| 鑑定費用(必要な場合) | 5〜10万円 |
| 司法書士・弁護士費用(依頼時) | 10〜20万円 |
| 合計(自己申立て) | 1〜2万円 |
| 合計(専門家依頼) | 10〜30万円 |
② 後見人報酬(毎月・本人が亡くなるまで続く)
家庭裁判所が決定する月額報酬の目安:
| 管理財産の額 | 月額報酬(目安) |
| 1,000万円未満 | 月2〜3万円 |
| 1,000〜5,000万円 | 月3〜4万円 |
| 5,000万円超 | 月5〜6万円 |
注意:この報酬は後見人が家族であっても、裁判所の判断で支払いを命じることがあります。ただし家族を後見人にした場合は「0〜1万円」と低い金額になるケースが多いです。
③ 後見監督人報酬(毎月)
財産管理が複雑なケースでは、後見人の行為を監督する「後見監督人」が付くことがあります。その場合、後見監督人にも月1〜3万円の報酬が発生します。
長期コストの試算
| 期間 | 月額報酬3万円の場合 | 月額報酬5万円の場合 |
| 5年 | 180万円 | 300万円 |
| 10年 | 360万円 | 600万円 |
| 15年 | 540万円 | 900万円 |
認知症を発症した平均年齢(75〜80歳)からの余命(平均10〜15年)を考えると、後見費用だけで500〜900万円以上になることも珍しくありません。
家族が後見人になれるか?
申立て時に「家族を後見人候補者として記載」することは可能です。しかし家庭裁判所がその候補者を選ぶかどうかは保証されません。
第三者後見人(専門家)が選ばれやすいケース:
- 財産が高額(1,000万円以上)
- 相続人間でトラブルがある
- 後見人候補者が遠方に住んでいる
- 後見人候補者に借金やトラブルの履歴がある
認知症前に準備できる代替手段
家族信託(判断能力がある間に手続き)
家族信託は「受託者(子ども)」が財産を管理する仕組みです。後見人は不要になります。
- 初期費用:40〜90万円
- 継続費用:原則なし(専門家への定期報告は任意)
- 長期コストは後見より大幅に安い
任意後見(判断能力がある間に手続き)
自分で後見人を選び、公正証書で契約します。発効後は後見監督人費用(月1〜3万円)が発生しますが、見知った人を後見人にできます。
成年後見・任意後見・家族信託の費用比較(20年間)
| 成年後見 | 任意後見 | 家族信託 | |
| 初期費用 | 1〜30万円 | 11〜27万円 | 40〜90万円 |
| 継続費用(月) | 2〜6万円 | 1〜3万円 | 原則なし |
| 20年間の合計(概算) | 480〜1,440万円 | 240〜720万円 | 40〜90万円 |
長期で見ると家族信託が最も低コストになることがわかります。
【事例】田中さん(65歳)が後見費用に驚いた理由
田中さん(65歳・埼玉県在住)は82歳の母が認知症で入院したタイミングで成年後見の申立てを行いました。司法書士が後見人に選ばれ、月報酬3万円が発生。母は95歳まで生きたため、13年間で合計468万円の後見人報酬を払い続けました。
「申立て前に誰かが家族信託を教えてくれていれば。母がまだ80歳で元気だった頃に動けばよかった」と話します。
よくある質問
後見人の費用は本人の財産から出るのですか?
はい。後見人報酬は「本人の財産」から支払われます。財産が少ない場合は市区町村が報酬を助成する「成年後見制度利用支援事業」がある自治体もあります。
認知症が軽度なら後見人は必要ですか?
軽度の認知症なら、本人が単独で判断・契約できる場合があります。後見制度が必要かどうかは、具体的な行為(銀行手続き・施設入居の契約等)ができるかどうかで判断されます。まず主治医や司法書士に相談することをおすすめします。
後見人報酬を節約する方法はありますか?
後見制度開始後の報酬節約は基本的に難しいです。報酬は裁判所が決定するものだからです。節約するなら「後見制度を使わない」方法(家族信託・任意後見)を認知症前に準備することが唯一の対策です。
まとめ
認知症の後見人費用は月2〜6万円が目安で、本人が亡くなるまで続きます。10〜20年で500〜1,000万円以上になることもあります。
判断能力があるうちに家族信託・任意後見を検討することが、最も長期コストを抑える方法です。 「まだ大丈夫」と思っているうちに動くことが重要です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
認知症後見の問題は、知っているかどうかだけで、結果が大きく変わります。
難しい制度のなかで、正しい情報を手に入れることがどれほど大切か、日々の記事執筆を通じて痛感しています。
この記事が、あなたの生活を少しでも楽にするきっかけになれば嬉しいです。
これからも、あなたの生活防衛に役立つ情報を発信し続けます。
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