「任意後見契約を結びたいが、手続きの流れがわからない」
任意後見は「認知症になる前に、後見人を自分で選んで契約しておく制度」です。==法定後見と違い、自分の意思で後見人を選べる点が最大のメリットです。== 手続きは「公正証書の作成」から始まります。
この記事では、任意後見の契約から発効までの流れ・費用・必要書類を解説します。
任意後見とは
任意後見は「判断能力があるうちに、将来の後見人を自分で決めておく制度」です。
任意後見の流れ(概要):
1. 任意後見契約(公正証書)を締結する
2. 判断能力が低下するまで契約は「休眠状態」
3. 判断能力が低下したら、家族や後見人候補者が家庭裁判所に申立て
4. 家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任
5. 任意後見が発効(開始)する
任意後見契約の締結手順(STEP1〜4)
STEP1:任意後見人の選定
任意後見人に誰を選ぶかを決めます。
任意後見人になれる人:
- 信頼できる家族(子ども・兄弟姉妹・配偶者)
- 知人・友人
- 弁護士・司法書士などの専門家
任意後見人になれない人:
- 破産者(免責されていない場合)
- 後見人等を解任されたことがある人
- 本人に対して訴訟をしている人・配偶者・直系血族
STEP2:司法書士・弁護士への相談と契約書草案の作成
任意後見契約は公正証書で作成が義務付けられているため、専門家(司法書士・弁護士)への依頼が実際的です。
契約書に記載する主な内容:
- 任意後見人の氏名・連絡先
- 後見が発効する条件(判断能力の低下)
- 後見人が行える行為の範囲(財産管理・身上監護)
- 報酬の有無・金額
STEP3:公正証書の作成(公証役場)
公証役場で公証人に任意後見契約書を作成してもらいます。
手続きの流れ:
1. 最寄りの公証役場に予約
2. 公証人に草案を提出・内容を確認
3. 本人・任意後見人が公証役場に出頭(委任状で代理可能な場合あり)
4. 公正証書に署名・押印
STEP4:後見登記
公正証書作成後、法務局の「後見登記」に自動的に登録されます。
任意後見の費用
| 費用の種類 | 金額目安 |
| 司法書士・弁護士への相談・文案作成料 | 5〜15万円 |
| 公証人手数料 | 1.1〜2.2万円 |
| 後見登記手数料 | 1,400円 |
| 印鑑証明書・住民票などの取得費用 | 数百〜数千円 |
| 契約時の総費用 | 6〜20万円程度 |
発効後の月額費用:
- 任意後見監督人への報酬:月1〜3万円(家庭裁判所が決定)
- 任意後見人への報酬:契約内容による(家族の場合は無報酬が多い)
任意後見が「発効」するまでの手続き
任意後見は、判断能力が低下したら家族や任意後見人が家庭裁判所に申立てて初めて発効します。
| ステップ | 内容 |
| 申立て | 任意後見受任者・配偶者・四親等内の親族が家庭裁判所に申立て |
| 審判 | 裁判所が申立てを受理し、任意後見監督人を選任 |
| 発効 | 任意後見監督人の選任と同時に任意後見が開始 |
申立てに必要な書類(一般的):
- 申立書
- 本人の戸籍謄本・住民票
- 本人の診断書(精神科・神経内科の医師)
- 任意後見契約公正証書の謄本
- 任意後見受任者の戸籍謄本・住民票・職業・収入証明
移行型任意後見(財産管理委任契約と組み合わせる)
認知症になる前から財産管理のサポートが必要な場合、「財産管理委任契約」と任意後見を組み合わせる「移行型」が効果的です。
| 段階 | 内容 |
| 判断能力あり | 財産管理委任契約が発効(任意後見は休眠) |
| 判断能力低下 | 任意後見が発効・財産管理委任契約は終了 |
判断能力があるうちから少しずつ後見人候補者に財産管理を委託でき、スムーズに移行できるメリットがあります。
任意後見の注意点
① 任意後見人に「身上監護(医療同意)」は含まれない
任意後見人は財産管理と身上監護(施設入所の契約・日常生活のサポート)を担います。ただし医療行為への同意は含まれません。
医療行為への同意が必要な場合は、法定後見が必要になるケースがあります。
② 任意後見監督人の費用が発生する
任意後見が発効すると、必ず「任意後見監督人」が家庭裁判所から選任されます。任意後見監督人への報酬(月1〜3万円)が発生するため、発効後も継続的な費用がかかります。
【事例】鈴木さん(72歳)が任意後見を選んだ理由
鈴木さん(72歳・神奈川県在住)は軽度の物忘れを感じ始め、将来への不安から任意後見契約を結びました。
「法定後見は家庭裁判所が後見人を決めると聞いた。知らない弁護士に財産を管理されるのは嫌だった。任意後見なら長男を指定できる。司法書士に頼んで公正証書を作ってもらうまで12万円かかったが、安心感が全然違う」と話します。
よくある質問
任意後見を取り消すことはできますか?
判断能力があるうちは、いつでも公証役場で任意後見契約を取り消すことができます。判断能力を失った後は取り消せません。
任意後見の発効を家族が申立てないケースはどうなりますか?
任意後見受任者・四親等内の親族・配偶者が申立てを怠っている場合、家庭裁判所が職権で任意後見監督人を選任するケースもあります。
任意後見と家族信託を両方組み合わせることはできますか?
できます。「家族信託(財産管理)+任意後見(身上監護)」の組み合わせが、認知症対策として最も包括的な方法です。
まとめ
任意後見の手続きは「専門家に相談→公正証書作成→後見登記」という流れで、費用は契約時に6〜20万円程度です。発効後は任意後見監督人への月額報酬がかかります。
法定後見と比べて「後見人を自分で選べる」点が最大のメリットです。早めに(判断能力があるうちに)手を打つことが、将来の後悔を防ぐ最善策です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
任意後見の手続きの問題は、知っているかどうかだけで、結果が大きく変わります。
難しい制度のなかで、正しい情報を手に入れることがどれほど大切か、日々の記事執筆を通じて痛感しています。
この記事が、あなたの生活を少しでも楽にするきっかけになれば嬉しいです。
これからも、あなたの生活防衛に役立つ情報を発信し続けます。
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