【2026年最新】介護が始まったら最初にやること:費用・施設・手続きの全体像を調べてみた

Uncategorized

著者:内野 裕士(うちの ゆうと・44歳)

義父の介護・家族信託・相続を経験した一般人


義理のお父さんが認知症と診断された翌日、わたしはスマートフォンで「介護 何から始める」と検索していました。

ヒットしたページを開くたびに、知らない言葉が並んでいました。「要介護認定」「ケアプラン」「地域包括支援センター」「特別養護老人ホーム」。読もうとするたびに頭が痛くなって、結局タブを閉じてしまった記憶があります。

認知症と診断されたその日から、銀行口座が凍結されるリスクが始まることを、あなたはご存じでしたか?

わたしは知りませんでした。義父が認知症の診断を受けた後、「とりあえず様子を見よう」とぼんやりしていた数週間のあいだ、法的な意味での「判断能力」の時計はもう動き始めていたのです。

あの頃のわたしに一番必要だったのは、専門家の難しい解説ではなく、「今日から何をどの順番でやればいいか」を教えてくれる全体地図でした。

この記事では、「介護が始まったばかりで何から手をつければいいかわからない」という状態のあなたに向けて、わたし自身が実際に調べて歩いた内容を整理してお伝えします。費用の目安、在宅と施設の違い、お金と財産の問題、そして知っている人だけが使える節約の制度。順番通りに読んでいただければ、今日からやることが見えてくるように構成しました。


まず全体像を把握する(介護の地図)

介護が始まると、複数の問題が同時に押し寄せてきます。最初に全体像を把握しておくと、「今どこにいるのか」が見えやすくなります。

問題の種類 具体的な内容 急ぎ度
介護保険の申請 サービスを使うための認定手続き ★★★(最優先)
在宅か施設かの方針確認 生活の場をどこにするか ★★(早めに)
在宅サービスの手配 ヘルパー・デイサービスなど ★★(認定後すぐ)
財産管理の整理 銀行口座凍結対策・家族信託など ★★(意思能力があるうちに)
費用の節約制度 高額介護サービス費・住宅改修費 ★(申請すれば戻る)

各問題を一つずつ見ていきます。


STEP 1:まず介護保険の申請(認定されないと何も始まらない)

介護保険とは何か

介護保険は、40歳以上の人が加入する社会保険です。保険料を払っている代わりに、介護が必要になったときにサービスを1〜3割の自己負担で利用できる仕組みです。

ただし、介護保険のサービスを使うためには「要介護認定」を受ける必要があります。認定を受けていなければ、ヘルパーも、デイサービスも、施設入所も、保険の適用外になります。

つまり、介護が始まったらまず最初にやることは介護保険の申請です。

申請から認定までの流れ

ステップ 内容 目安期間
① 申請書の提出 市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターに提出 当日
② 認定調査 調査員が自宅に来て本人の状態を確認(74項目) 申請後1〜2週間
③ 主治医の意見書 かかりつけ医が作成(本人の同意が必要) ②と並行して進む
④ 審査・判定 介護認定審査会がコンピュータ判定+医師意見書で総合判断 合計30日以内が原則
⑤ 認定通知が届く 要介護度(要支援1〜2・要介護1〜5)が郵送で届く 30日前後

申請から認定まで原則30日以内とされています。ただし、繁忙期や地域によってはもう少しかかることもあります。早めに申請しておけば、認定が下りた後に遡ってサービスを適用できるケースもあります(自治体により異なります)。

要介護度によって変わるもの

要介護度が高いほど、使えるサービスの月額上限(支給限度額)が上がります。

要介護度 支給限度額(月額) 主に利用できるサービス
要支援1 約5万円 介護予防通所・訪問サービス中心
要支援2 約10.5万円 同上+一部居宅サービス
要介護1 約16.7万円 訪問介護・デイサービスなど
要介護2 約19.7万円 訪問介護・通所介護・ショートステイ
要介護3 約27万円 上記+特別養護老人ホーム入所資格が得られる
要介護4 約30.9万円 医療的ケアが必要なサービスも対象に
要介護5 約36.2万円 最重度・24時間対応サービスも利用可

※2026年時点の目安。自己負担は原則1割(所得によっては2〜3割)。


STEP 2:在宅介護か施設介護かを決める(費用が5〜10倍違う)

在宅介護の費用感

在宅介護とは、自宅での生活を続けながら、必要な部分だけ介護保険サービスを利用する方法です。

  • 在宅介護の月額自己負担は、要介護2〜3の場合で月4〜8万円が一般的な相場
  • 家族が主な介護者になるため、精神的・体力的な負担は家族にかかる
  • サービスの組み合わせ次第で、費用と負担のバランスを調整できる

施設介護の費用感

施設には「特養(特別養護老人ホーム)」「老健(介護老人保健施設)」「グループホーム」「有料老人ホーム」「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」など多くの種類があります。

施設の種類 月額費用の目安 特徴・注意点
特別養護老人ホーム(特養) 月6〜15万円 要介護3以上が入所条件。待機期間が平均2〜3年。低所得者向け補足給付あり。
介護老人保健施設(老健) 月8〜15万円 リハビリ中心。原則3〜6ヶ月で退所。在宅復帰を目指す施設。
認知症グループホーム 月12〜20万円 認知症専門。少人数で共同生活。アットホームな環境。
介護付き有料老人ホーム 月15〜30万円 サービスが充実。入居時に高額な「入居一時金」が必要なケースもある。
サービス付き高齢者向け住宅 月10〜25万円 見守りと生活支援が中心。比較的自立度が高い方向け。

施設の費用は在宅介護の2倍から5倍以上になることもあります。

今すぐ決めなくていい。ただし待機登録は早めに

施設への入所を将来的に考えているなら、今すぐ「入所する・しない」を決める必要はありません。ただし、特養などの公的施設は待機リストが数年単位になることがあります。

「いざとなれば入れる」と思っていたら、いざというときに入れない。わたしが調べた範囲では、こういうケースは珍しくありませんでした。施設の候補を絞り、資料請求や見学だけでも早めにしておくことをお勧めします。


STEP 3:在宅サービスを組み合わせる(種類と費用)

在宅介護を続けながら使えるサービスには、大きく「通所系(施設に通う)」「訪問系(自宅に来てもらう)」「短期入所系(一時的に施設に泊まる)」があります。

主な在宅サービス比較

サービス名 内容 月額自己負担の目安(1割)
訪問介護(ヘルパー) 自宅にヘルパーが来て、身体介助・生活援助を行う 月1〜3万円
デイサービス(通所介護) 施設に通い、食事・入浴・レクリエーションを受ける 月2〜4万円
ショートステイ(短期入所生活介護) 一時的に施設に泊まる(家族の休息にもなる) 月1〜5万円(利用日数による)
訪問看護 看護師が自宅に来て、医療的ケアや健康管理を行う 月1〜3万円
訪問リハビリ 理学療法士・作業療法士が自宅でリハビリを行う 月1〜2万円
福祉用具レンタル 車椅子・歩行器・介護ベッドなどを借りられる 月500〜5,000円程度
居宅療養管理指導 医師・薬剤師・管理栄養士が自宅を訪問して指導 月数百〜数千円

これらを組み合わせた「ケアプラン(介護サービス計画書)」を作るのが、ケアマネージャー(介護支援専門員)の仕事です。

ケアマネージャーは無料でつけられる

ケアマネージャーへの報酬は全額介護保険から出るため、利用者の自己負担はゼロです。

地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に相談すれば、担当ケアマネを紹介してもらえます。

ケアマネは単にサービスを手配するだけでなく、施設の情報や行政の給付制度についても相談に乗ってくれます。介護の入口では、まずケアマネとつながることが最短ルートだと感じています。


STEP 4:お金の問題(認知症が進むと口座が凍結される)

認知症と資産凍結の関係

これが最もリアルな危機だと、わたしは自分の経験から言えます。

認知症が進行し、本人に「判断能力がない」と判断されると、銀行は本人名義の口座への引き出し・取引を制限します。

口座が事実上凍結されると、次のことができなくなります。

  • 預金の引き出しができなくなる(施設費用の支払いも含む)
  • 不動産の売却・賃貸の解約ができなくなる
  • 生命保険の受取・解約ができなくなる

「凍結されてから動こう」では手遅れです。認知症の診断後、本人がまだ意思能力を持っているうちに手を打っておく必要があります。

家族信託・成年後見制度の違い

財産管理の対策として主に使われる制度が「家族信託」と「成年後見制度」です。

制度名 概要 使えるタイミング 費用 特徴
家族信託 本人が元気なうちに、財産管理を信頼できる家族に託す 意思能力があるうちのみ 初期費用30〜100万円程度 柔軟な設計が可能。家族主導で運用できる。
任意後見制度 本人が元気なうちに、将来の後見人を自分で指定する 意思能力があるうちのみ 登記費用+後見人報酬(月2〜6万円程度) 法的保護が強い。家庭裁判所の監督あり。
法定後見制度 判断能力を失った後に、家庭裁判所が後見人を選任する 判断能力を失った後 後見人報酬(月2〜6万円程度) 本人が事前に選べない。手続きに時間がかかる。

家族信託は認知症が進んで判断能力がなくなると利用できません。

逆に言えば、認知症の診断直後でも、本人がまだ物事を理解できる状態であれば手続きは可能です。わたしが調べたケースでは、「まだ大丈夫」と思っている間に機会を逃した家族が少なくありませんでした。

相続の話し合いは介護と並行して進める

介護をしながら相続の話を持ち出すのは、なんとなく後ろめたい気がするかもしれません。

ただ、介護と相続の問題は実際には一体です。介護費用を誰が負担するのか、介護した親族と介護しなかった親族で財産はどう分けるのか。こうした話し合いを介護が始まった段階で少しずつ進めておいた家族ほど、後でもめないケースが多いと感じています。


STEP 5:費用を節約する方法(知っている人だけが得をする)

高額介護サービス費(申請しないと返ってこない)

介護保険には「高額介護サービス費」という制度があります。1ヶ月に支払った介護サービスの自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分が後から返ってくる仕組みです。

所得区分 月額上限(自己負担)
生活保護受給者 月1万5千円
市町村民税非課税世帯(低所得) 月2万4,600円
市町村民税非課税世帯(本人年金80万円以下等) 月1万5,000円
一般(課税世帯・年収383万円未満) 月4万4,400円
現役並み所得(年収383万円以上770万円未満) 月4万4,400円
現役並み所得(年収770万円以上) 月9万3,000円

※2026年時点の目安。制度改正により変更になることがあります。

この制度は申請しなければ1円も戻ってきません。

市区町村から通知が来ることもありますが、来ないこともあります。介護サービスを使い始めたら、一度「高額介護サービス費の申請はしましたか」と窓口で確認してみてください。

支給限度額をフル活用する

要介護度ごとに月額の支給限度額が決まっていますが、多くの家庭はこの限度額を使い切っていません。

限度額に余裕があるなら、不足しているサービスを追加で利用できます。「ショートステイを使いたいが費用が心配」という場合も、限度額の範囲内であれば自己負担1割で利用できます。ケアマネに「今の支給限度額のうち何割使っていますか」と聞けばすぐに確認できます。

住宅改修費の補助

手すりの設置・段差の解消・スロープの取り付けなど、介護のための住宅改修にも補助があります。

上限20万円までの工事費の7〜9割が補助対象(所得により1〜3割自己負担)です。

ただし、工事の前に申請が必要です。工事が終わってから申請しても受け付けてもらえないケースがあるため、必ず事前に市区町村窓口かケアマネに相談してください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 介護が始まったばかりですが、何に一番お金がかかりますか?

A. 在宅介護の場合、初期費用として意外とかかるのが「福祉用具の購入・住宅改修費」です。介護ベッドや手すりの設置には数万〜数十万円かかります。ただし、前述の住宅改修補助を使えば自己負担は大幅に減らせます。

月々の費用として最もかさむのは「ショートステイ」の頻度が上がってきたときです。家族の負担軽減のためにショートステイを多く使うと、月5〜8万円の自己負担になることがあります。まず介護保険の申請と要介護認定を早めに進め、支給限度額を把握することが先決です。


Q2. 施設に入れたいが、費用が払えるか不安です。

A. 特別養護老人ホーム(特養)は公的施設のため、月額費用が比較的安く抑えられています(目安:月6〜15万円)。低所得の方向けに「補足給付(特定入所者介護サービス費)」という食費・居住費の軽減制度もあります。

ただし、特養は要介護3以上が入所条件で、待機期間が2〜3年になることもあります。「いつかは特養へ」と考えているなら、今すぐ見学・申込みだけでも進めておくことをお勧めします。


Q3. 家族信託と成年後見制度、どちらを選べばいいですか?

A. 本人がまだ意思能力を持っているうちに動けるなら、家族信託のほうが柔軟性が高く、家族にとって使いやすいケースが多いです。初期費用はかかりますが、設計の自由度と家族が主体的に動ける点で優れています。

一方、すでに本人の判断能力に疑問がある場合は、家庭裁判所を通じた法定後見制度しか選べません。

どちらが最適かは個人の財産規模・家族構成・本人の状態次第です。まずは地域の法テラス(0570-078374)や市区町村の無料相談窓口に問い合わせてみてください。費用なしで専門家の話を聞けます。


まとめ:介護の「最初の5ステップ」一覧

ステップ やること 目安のタイミング
STEP 1 介護保険の申請(市区町村窓口または地域包括支援センターへ) 今日〜今週中
STEP 2 在宅か施設かの方針確認・施設の見学・待機リスト登録 認定が下りた後
STEP 3 ケアマネージャーと面談・在宅サービスのケアプラン作成 認定後すぐ
STEP 4 家族信託・成年後見制度の検討(判断能力があるうちに急ぐ) できるだけ早急に
STEP 5 高額介護サービス費・住宅改修補助の申請確認 サービス開始後すぐ

介護の入口で「何から手をつければいいかわからない」という混乱は、情報が多すぎることと、制度の複雑さが原因です。でも順番に見ていくと、最初にやることはシンプルです。

「介護保険の申請」と「財産管理の整理」を同時並行で動かす。

これが、介護の入口でわたしが一番重要だと感じた2点です。


関連記事


最後まで読んでいただきありがとうございます。

介護の問題は、知っているかどうかだけで、結果が大きく変わります。

難しい制度のなかで、正しい情報を手に入れることがどれほど大切か、日々の記事執筆を通じて痛感しています。

この記事が、あなたの生活を少しでも楽にするきっかけになれば嬉しいです。

これからも、あなたの生活防衛に役立つ情報を発信し続けます。


コメント

タイトルとURLをコピーしました