老人ホームの月額費用を安くする方法|特養8万円台〜選べる施設タイプと公的制度の完全ガイド

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老人ホームの費用が「高すぎて無理かもしれない」と感じていませんか?

正直に言うと、わたしが義父(当時84歳・認知症)の施設を探し始めたとき、月額費用の相場をまったく知りませんでした。

「老人ホームって月30万円くらいはかかるんだろう」というぼんやりしたイメージだけで施設見学に行き、費用説明を聞いてはため息をついていた時期があります。

ところが調べてみると、施設によって月8万円台の場所もあれば、30万円を超える場所もある。どちらも「老人ホーム」という名前なのに、なぜこれだけ差があるのか。

この違いを理解するだけで、家族全体の経済的な負担は大きく変わります。

さらに調べると、費用を大幅に削減できる公的制度が複数あることもわかりました。申請しないと使えない制度です。知っているかどうかだけで、月に数万円の差が生まれます。

この記事では、老人ホームの月額費用の実態と、合法的に費用を安くするための3つの制度を順番に解説します。「いくらかかるのか」「いつ動くべきか」「自分でできるか」という3つの疑問に、調べた事実をもとにお答えします。


「費用がわかりにくい」のには理由がある

介護施設の費用がわかりにくい最大の理由は、施設の種類が多すぎることです。

国が設けている施設だけでも、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院など複数あります。民間の介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、グループホームを含めると、選択肢は10種類以上に広がります。

名前が違うだけでなく、費用の仕組みも入居条件も、施設ごとにまったく異なります。

厚生労働省の資料によると、2023年時点で介護施設・住宅の総数は全国で約17万か所にのぼります。これだけの施設が乱立していれば、費用がバラバラになるのは当然のことです。

わたしが義父の施設を探し始めたとき、最初は「有料老人ホーム」しか頭にありませんでした。見学のたびに「月20万円です」「月25万円です」という説明を聞き、「この先何年も払い続けられるだろうか」と不安が募っていました。

転機になったのは、担当ケアマネジャーから「特養への申し込みはしていますか?」と言われたときです。特養という選択肢を真剣に考えていなかったわたしにとって、その言葉は大きな発見でした。

月額を比べる前に、まず費用の仕組みを理解することが大事だった、というのが率直な感想です。


施設タイプ別の月額費用相場

老人ホームの月額費用を整理するには、「公的施設」と「民間施設」に分けて考えるのが一番わかりやすいです。

公的施設の費用相場

特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上が入居条件の公的施設です。社会福祉法人や地方自治体が運営しており、費用が最も安い選択肢の一つです。月額8〜15万円が目安です。

介護老人保健施設(老健)は、病院を退院した後のリハビリを主な目的とした施設です。入居期間に上限があることが多く、月額8〜13万円が目安です。

介護医療院は、長期療養が必要な方向けの医療施設です。看護師の配置が手厚く、月額10〜15万円程度が相場です。

民間施設の費用相場

介護付き有料老人ホームは、24時間体制で介護スタッフが常駐する民間施設です。サービスの手厚さに応じて費用幅が広く、月額15〜35万円の範囲になります。

住宅型有料老人ホームは、住居と生活支援を提供し、介護サービスは外部から利用する形式です。月額10〜25万円が相場です。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、見守りサービスと生活相談を中心とした賃貸住宅です。月額10〜20万円程度です。

グループホームは、認知症の方が少人数で共同生活を行う施設です。認知症対応に特化しており、月額10〜20万円が相場です。

施設タイプ 月額費用の目安 入居条件 運営主体
特別養護老人ホーム(特養) 8〜15万円 要介護3以上 公的(社会福祉法人等)
介護老人保健施設(老健) 8〜13万円 要介護1以上 公的(医療法人等)
介護医療院 10〜15万円 要介護1以上 公的・医療系
介護付き有料老人ホーム 15〜35万円 要支援〜要介護 民間
住宅型有料老人ホーム 10〜25万円 要支援〜要介護 民間
サービス付き高齢者向け住宅 10〜20万円 60歳以上など 民間
グループホーム 10〜20万円 要支援2以上・認知症 民間・NPO等

参考:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/24-22-2.html)


月額費用の内訳を正確に把握する

「月額12万円」という数字を見ても、その内訳がわからなければ比較できません。老人ホームの月額費用は主に4つの要素で構成されています。

①居住費(家賃相当):個室か多床室か、施設の立地によって大きく異なります。特養の多床室では月2〜3万円程度ですが、民間施設の個室では月10〜15万円以上になるケースもあります。

②食費:1日3食の食事代です。施設によって品質は異なりますが、月4〜6万円が一般的な水準です。

③介護サービス費(自己負担分):介護保険が適用されますが、所得に応じて1〜3割を自己負担します。要介護度が高いほど費用が増えます。一般的に月1〜5万円の範囲です。

④日常生活費:おむつ代、散髪代、日用品などの雑費です。月1〜2万円程度が目安ですが、施設によって差があります。

費用の内訳 特養(多床室)の目安 介護付き有料老人ホームの目安
居住費 1〜3万円 5〜15万円
食費 4〜5万円 4〜6万円
介護サービス費(自己負担) 1〜3万円 2〜5万円
日常生活費 1〜2万円 1〜3万円
合計(目安) 7〜13万円 12〜29万円

公的施設と民間施設の月額差は、主に「居住費」の差から来ています。介護サービスの質は人員配置基準で担保されているため、費用が安いからといって介護の質が低いわけではありません。


入居一時金を見落とさない

民間施設を比較するときに注意すべきなのが「入居一時金」の存在です。

入居一時金とは、入居時に一括で支払う費用で、数十万円〜数百万円になることがあります。

高級な有料老人ホームでは1,000万円以上を求めるケースもあります。入居一時金がある場合、月額費用だけを比べると判断を誤ります。

たとえば「月額15万円・入居一時金500万円」の施設と「月額20万円・入居一時金なし」の施設を5年間で比較すると、前者の総費用は月額換算で約23万円になり、後者より高くなります。

特養や老健などの公的施設には原則として入居一時金がありません。これも公的施設の費用が実質的に安い大きな理由の一つです。

施設を比較するときは「月額費用」と「入居一時金を含めた総費用」の両方を確認することが重要です。


月額費用を安くする3つの公的制度

老人ホームの費用を削減できる制度が、国の制度として3つあります。いずれも申請しないと使えない制度です。調べてみたところ、申請できる状況にあるのにしていない方が一定数いることがわかりました。

制度①:特養の待機登録を早めに行う

特別養護老人ホームは月額費用が最も安い施設の一つですが、入居待ちが発生しています。

要介護3以上の認定を受けていれば、特養への申し込みは今すぐできます。入居まで早くて数か月、地域によっては1〜3年かかるケースもあります。だからこそ早期申し込みが重要です。

複数の特養に同時登録することも可能です。登録費用はかかりません。「まだ施設は必要ない」と思っていても、申し込みだけは先に済ませておくのが賢明な判断です。

担当ケアマネジャーに「特養への申し込みをお願いしたい」と伝えれば、手続きを進めてもらえます。

制度②:介護保険の「負担限度額認定」を申請する

負担限度額認定とは、施設の居住費と食費の自己負担額を所得に応じて引き下げる制度です。

住民税非課税世帯などの低所得者が対象で、所得に応じて第1〜第3段階に区分されます。

段階 対象者 居住費(多床室)上限/日 食費の上限/日
第1段階 生活保護受給者・老齢福祉年金受給者 0円 300円
第2段階 合計所得+年金収入80万円以下 370円 390円
第3段階① 合計所得+年金収入80万円超120万円以下 370円 650円
第3段階② 合計所得+年金収入120万円超210万円以下 370円 1,360円
第4段階(基準・一般) 住民税課税世帯 855円〜 1,445円〜

参考:厚生労働省「介護保険の負担限度額認定について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html)

第2段階に該当する方が特養の多床室に入居した場合、居住費の月額負担は370円×30日=約1万1,100円です。第4段階(基準)では855円×30日=約2万5,650円になるため、月に約1万4,000円の差が生まれます。

食費も同様で、第2段階なら390円×30日=約1万1,700円、第4段階なら1,445円×30日=約4万3,350円です。食費の差だけで月に約3万1,000円の開きがあります。

合計すると、制度適用の有無で月4〜8万円の差が出ることがわかります。

申請先は住んでいる市区町村の介護保険担当窓口です。必要書類は申請書・マイナンバー確認書類・預金通帳のコピー等です。有効期間は1年間のため、毎年更新が必要です。

制度③:「高額介護サービス費」の払い戻しを受ける

同一月内に支払った介護サービス費の自己負担が一定額を超えた場合、超過分が後から払い戻される制度です。

一度申請すれば、その後は自動的に還付されます。最初の申請を忘れないことが重要です。

世帯の区分 上限額(月)
年収1,160万円以上 140,100円
年収770万円〜1,160万円未満 93,000円
年収383万円〜770万円未満 44,400円
住民税課税世帯(一般) 44,400円
住民税非課税世帯(一般) 24,600円
老齢福祉年金受給者等 15,000円

参考:厚生労働省「高額介護サービス費について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000882888.pdf)

たとえば一般世帯で介護サービスの自己負担が月6万円になった場合、44,400円を超えた15,600円が払い戻されます。

申請先は住んでいる市区町村の介護保険担当窓口です。施設に入居した翌月以降に申請できます。


ケーススタディ:田中さん(67歳・夫婦2人暮らし)の場合

田中さんの義母(83歳)は要介護3で認知症の診断を受けており、在宅での介護が日に日に難しくなっていました。

義母の収入は国民年金のみで月約10万円。貯蓄は500万円程度あります。田中さん夫婦も共働きでゆとりがあるわけではなく、「月20万円以上の施設は継続的に払えない」という状況でした。

担当ケアマネジャーに相談したところ、いくつかのことがわかりました。

まず義母の収入(年金収入年120万円)から、負担限度額認定の「第3段階①」に該当することが判明しました。次に、認知症のため特養への入居優先度が一定程度認められる可能性があること。そして近隣の特養3施設に申し込みをしていなかったことがわかりました。

特養(多床室)+負担限度額認定を適用した場合の月額費用の試算:

  • 居住費:370円×30日=約11,100円
  • 食費:650円×30日=約19,500円
  • 介護サービス費(自己負担1割・要介護3の場合):約25,000円
  • 日常生活費(おむつ代含む):約15,000円
  • 合計:約70,600円/月

義母の年金収入10万円から毎月の施設費用を支払っても、約3万円が手元に残る計算です。

一方、制度を利用しない場合(第4段階・標準費用で計算)は月12〜15万円になります。負担限度額認定を取得するだけで、月5〜8万円の節約が可能でした。

田中さんはケアマネジャーの助言をもとに特養3施設に申し込みを行い、8か月後に入居が決まりました。

「早めに申し込んでいてよかった。もっと早く動いていればと思う面もある」と田中さんは振り返っていました。


月額費用を安くするための5ステップ

STEP 1:担当ケアマネジャーに「費用を抑えたい」と明確に伝える

まだケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターに連絡すると担当者を紹介してもらえます。

ケアマネジャーは地域の施設の費用実態と空き状況を把握しています。「できるだけ月額費用を抑えたい」という希望を最初にはっきり伝えることが重要です。言わなければ高い施設を紹介されることもあります。

STEP 2:特養への待機登録を今すぐ行う

要介護3以上の認定を受けているなら、今すぐ特養に申し込むことができます。

入居を急いでいなくても、申し込みだけはしておくのが鉄則です。待機期間が長いほど、早く申し込んだ方が有利です。

複数施設への同時登録が可能です。担当ケアマネジャーに依頼するか、施設に直接電話して申込書を取り寄せます。

STEP 3:負担限度額認定の対象かどうか確認し、該当するなら申請する

住民税非課税世帯の方、または収入が少ない方は対象になる可能性があります。

確認・申請先は市区町村の介護保険窓口です。「自分は対象ですか?」と窓口で聞くだけで教えてもらえます。申請書類の記入を手伝ってくれる自治体も多いです。

STEP 4:施設入居後、高額介護サービス費の申請をする

施設に入居した後、介護費用が発生したら市区町村の介護保険窓口で申請します。

「高額介護サービス費の申請をしたい」と伝えれば、担当者が案内してくれます。初回申請後は自動的に還付されます。

STEP 5:月額費用と入居一時金を合算した「総費用」で施設を比較する

月額費用だけでなく、入居一時金を含めた5年間の総費用で比較します。

比較チェック項目 確認すること
月額費用の内訳 居住費・食費・介護費・雑費が別建てかどうか
入居一時金の有無 金額と償却方法(何年で償却されるか)
介護保険の適用範囲 保険外サービスが発生する条件
追加加算の有無 看護加算・夜間対応費・医療連携加算など
退去条件と返金ルール 短期退去時の一時金返還計算方法

よくある質問

Q1. 特養と有料老人ホーム、どちらを選ぶべきですか?

費用優先なら特養、早期入居優先なら有料老人ホームが有利です。

特養は月額8〜15万円と安く、公的な基準で介護体制が担保されています。ただし、要介護3以上の認定が必要で、入居待ちが発生します。

有料老人ホームは費用が高めですが、要介護度が低い段階から入居でき、選択肢が豊富です。看取り対応や認知症専門のフロアを持つ施設も多くあります。

実際には、特養の空きを待ちながら当面はグループホームや住宅型有料老人ホームで対応するご家族が多いです。「特養に申し込みながら、現時点の状況に合った施設を探す」という二段階の戦略が現実的です。

Q2. 月額費用が安い施設は介護の質が低いのでしょうか?

費用の安さと介護の質は必ずしも比例しません。

特養の介護職員配置は「利用者3人に対して1人以上」と法律で定められています(厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」https://www.mhlw.go.jp/)。この基準を下回ることは許可されません。

民間施設は法定基準を超えるサービスを提供することで費用が高くなっているケースが多く、高い費用=良い介護とは一概に言えません。

重要なのは実際に見学して確かめることです。スタッフの入居者への接し方、施設の清潔さ、入居者の表情を自分の目で確認することが、費用表だけでは判断できない施設の実態を見極める唯一の方法です。

Q3. 親の年金収入だけで施設費用を賄えますか?

年金額と施設の種類・制度活用の組み合わせによって、賄える場合があります。

国民年金(満額)は月約6万8,000円(令和5年度)です。特養(多床室)の月額費用が8〜10万円とすると、月2〜3万円の不足が生じます。

一方、厚生年金を受給しており月12万円以上の収入がある場合、特養(多床室)+負担限度額認定の組み合わせで費用を年金の範囲内に収められるケースもあります。

不足が生じる場合には、子ども世代の補填、本人の貯蓄の取り崩し、生活保護制度の活用(施設入居費用は生活保護の対象になります)などが選択肢になります。費用の試算は担当ケアマネジャーに依頼するか、市区町村の介護相談窓口に問い合わせるのが確実です。


まとめ:仕組みを知ることが、最初の一歩

老人ホームの月額費用は、施設の種類と公的制度の組み合わせによって、まったく異なる数字になります。

調べてわかったことを整理すると:

  • 特養は月額8〜15万円で、費用を抑えたい場合の最有力候補。ただし入居まで時間がかかるため早期申し込みが必要
  • 負担限度額認定と高額介護サービス費は、申請しないと使えない。該当する場合は月4〜8万円の削減も可能
  • 月額費用だけでなく、入居一時金を含めた総費用で比較することが判断ミスを防ぐ
  • まず「ケアマネジャーへの相談」と「特養への申し込み」を同時に動かすことが基本戦略

「今すぐ施設には入れない」という状況でも、申し込みと制度の確認だけは今日できます。

困ったときは担当ケアマネジャーか、最寄りの地域包括支援センター(無料相談窓口)に連絡してみてください。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

老人ホームの費用問題は、知っているかどうかだけで、結果が大きく変わります。

難しい制度のなかで、正しい情報を手に入れることがどれほど大切か、

日々の記事執筆を通じて痛感しています。

この記事が、あなたの生活を少しでも楽にするきっかけになれば嬉しいです。

これからも、あなたの生活防衛に役立つ情報を発信し続けます。


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